GALLERY<ガラス絵>
<前田伸子のガラス絵の技法>
●ガラスの裏から直接、油絵具などの絵具で描く技法です。(ガラス絵の技法は、古くはヨーロッパにおける宗教画などにみられる技法)制作工程が、ガラスの裏面から直接描くので一般的絵画の制作工程と真逆になります。油彩の制作なら最後に入るサインや、表面に描かれる線や色から描き始めます。(構図が反転)・・・サインも逆さ文字ではじめに入れなくてはなりません。
●ガラス面に直接絵具が貼りつくことで、絵具が空気に触れないので絵具の変色や退色がありません。
絵具自体の美しさが際立ちます。ガラスの厚みで、ガラスの裏と表では、描いた線の位置が多少ぶれてしまいます。(使用ガラスは、2㎜。3㎜)
ガラスの上では油絵具の乾燥が非常に遅い(キャンバスのように、油分を吸収しない)絵具が滑って描きにくい為、非常に筆ムラが出やすいなどの難点があり、とても難しい技法です。
作画面のイメージを、表となる反対側からひっくり返し確認しながら、作業が進むために大きな作品を描くのは大変です。
●特徴として、重ねていく色の発色影響を、イメージで計算して描き進めていく難しさがあります。
よほど厚く最初の色を塗らない限り、塗った色に次の層の絵具が透けます。私の場合は薄い絵具の層を完全に乾かし、重ねていきます。そこで一層目の色のイメージを、二層目、三層目を塗った場合の完成形として考えなくてはなりません。また油彩とは全く逆な世界なので、描き進めるうちに最初に描いた形が雪の中の探し物をするように、見えなくなります。
●油絵具の透明色や、透明の特殊な樹脂液を使用し色の発色影響をイメージで計算して他の色を何層も重ねることで、画面は宝石のような輝きとなります。そこに箔や、いろいろなものを張り込むコラージュの技法も、遊び心満載で使います。(このような方法は、私のオリジナルの技法です。)